305bbcaa.jpg前回のコラムに出てきた「経皮感作」について、皆さんの疑問にお答えします。西鎌倉こどもクリニックの下田先生がわかりやすくまとめてくださいました。

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西鎌倉こどもクリニック 院長 下田 康介
2014年3月13日


Q1「感作(かんさ)という言葉がよくわからないんですが」

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A1「感じやすく作られている」つまりアレルギーの原因物質に対して、敏感に反応する準備ができている、という意味になります。たとえば、スギ花粉症の患者さんでは、スギ花粉のある成分にだけ結合する物質を血液中にたくさんもっていて、花粉が侵入してくればいつでも反応する状態をいいます。むずかしく言うと、スギ花粉に特異的に反応するIgE抗体をもっている状態です。「特異的」とは、スギ花粉ならスギ花粉だけに、という意味です。感作は、アレルギーの原因物質とからだの細胞がどこかで出会っていなければ、成立しません。

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Q2「感作された状態から、かならずアレルギーの症状が出るのでしょうか?」

A2必ず出るわけではありません。アレルギーの反応はたいへん複雑なプロセスを経て症状にいたるので、どこかの段階でブロックがかかり、特異的抗体を持ってはいるが、無症状ということも多いのです。年齢的な要素もあると思います。赤ちゃんがくりかえしアレルギーの原因物質と接触して、感作の状態が続くと発症しやすいでしょう。

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Q3「感作を減らす、またはなくすことは可能でしょうか?」

A3もともとIgEという抗体をつくりやすいか、そうではないかは遺伝的に決まっていますが、アレルギーの原因物質との接触が減れば、感作がなくなることもあります。授乳後に口まわりやほっぺを拭いた後、かならず保湿剤を塗る、あるいは医師の指示通りに顔などの湿疹を治療して、皮膚のバリア機能を正常化すれば、皮膚でアレルギーの原因物質と免疫担当の細胞が出会うことがなくなります。

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Q4「ほっぺが赤いのは赤ちゃんならふつうではないでしょうか?」

A4赤ちゃんのほっぺはリンゴのように赤くはありません。赤という字の意味ですが、真っ赤なウソとか、赤貧(せきひん)洗うがごとしとか、陛下の赤子(せきし)とかの用例にあるように、まじりっけのない、純粋なという意味です。赤ちゃんの赤もこの意味です。あんまり赤いほっぺはやはり湿疹のことが多いと思います。

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Q5「生後間もない赤ちゃんにステロイド剤などを塗っても大丈夫なのでしょうか?」

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A5大丈夫です。乳児に対しては、キンダーベートあるいはロコイドなどのマイルドクラスのステロイド外用薬を使用します。口に入れても大丈夫です。ただし、医師の指示通りに使ってください。よくあるのは、ちょっと塗ってよくなったらやめ、また少し悪くなったらちょっと使うという中途半端な使用法です。お母さん自身が医師になって自分で湿疹や乾燥肌の治癒や悪化を診断しているのです。こうなると、悪化したときはステロイドのリバウンド、だらだら使うのはステロイド依存などと誤解しやすくなります。
また、非ステロイド系の軟膏やクリームは、乳児にくりかえし使うと接触皮膚炎、つまりカブレの原因になります。決して使わないようにしてください。

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Q6「完全母乳がアレルギーのリスクファクターなら、父親にアトピー性皮膚炎があり、秋生まれの第2子で男の子なら、ミルクで育てたほうがいいということでしょうか?」

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A6そんなことはありません。母乳は栄養的にも、また母児の精神的な絆という意味でも貴重なものです。母乳は赤ちゃんの腸内のビフィズス菌や乳酸菌などの微生物のバランスを保ち、アレルギーから守っていると考えられています。新生時期に抗生剤を使用された赤ちゃんや、生後3か月以内に感染性胃腸炎などの下痢症にかかった赤ちゃんでは高率に食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、がみられます。
バリア機能が低下している皮膚と母乳中の食物アレルゲンの組み合わせがハイリスクという意味で、完全母乳そのものを否定しているわけではありません。ハイリスクになりそうなこどもさんの場合、1ヵ月健診を終えたらすぐにアレルギーに詳しい小児科医に診てもらうことから始めましょう。

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Q7「食物アレルギーのこどもが増えています。むかしも秋生まれで、完全母乳で、親が花粉症などハイリスクの赤ちゃんはいっぱいいたのに、どうして今頃経皮感作なのでしょうか?」

A7むずかしい質問ですね。まず、遺伝的な背景があると思います。今の赤ちゃんたちの親御さんにアレルギー性疾患をもっている、あるいはもっていた人たちが少なくありません。実は、日本でスギ花粉症第1号が報告されたのは、ちょうど50年前の1964年です。つまり、今の赤ちゃんたちの祖父母にあたる人たちは乳幼児期から何らかのアレルギー性疾患をもっていた可能性は少ないのです。この50年間でアレルギー性疾患の遺伝的背景をもっている人間がネズミ算式に爆発的に増えたということになります。
それから、母乳に含まれている食物抗原の変化です。以前は乳児期の食物アレルギーの原因トップ3は、タマゴ、牛乳、大豆でしたが、現在は大豆からコムギになっています。3食ともご飯で、味噌汁や豆腐、納豆などの食生活はもはやなくなってしまったようです。food_medamayaki30050年前は、タマゴは病気の時、あるいは遠足や催し事にしか食べませんでした。卵焼きはたいへんなごちそうでした。感作の原因アレルゲンがダントツでタマゴだったのは、お母さんたちがいかにタマゴやタマゴを含む食品をたくさん食べているかを反映したものと考えられます。ただ、タマゴのたんぱく質をたくさん含んでいる母乳が、ドライスキンなどバリア機能が低下している皮膚に悪く作用するのかどうかはわかりません。

※前回のコラムはこちら >>たかが「よだれかぶれ」されど「よだれかぶれ」

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2014年03月16日 │ コラム  │ コメント(0)│ トラックバック(0)

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