305bbcaa.jpg定期接種として復活した日本脳炎ワクチンと夏の感染症について、西鎌倉こどもクリニックの下田先生からの情報です。

西鎌倉こどもクリニック 院長 下田 康介
2010年06月07日

日本脳炎ワクチン

2005年から積極的な接種が控えられてきた日本脳炎ワクチンが、厚労省省令改正が今年の6月2日に実施され、第1期の接種(3歳以上の子どもさんを対象に1年目に1週ないし4週間隔で2回、2回目の接種から1年後に3回目の接種、これで「第1期」と総称します)が定期接種として「復活」しました。2006年にはワクチン未接種の3歳児が日本脳炎にかかっています。第1期接種の対象になる生後90ヶ月(7歳6ヶ月)までの方は、夏が来る前になるべく早期に公費で接種を受けましょう。

旧型ワクチンの副反応で2005年以降接種が「中断」していたあいだに、7歳6ヶ月を過ぎてしまい第1期の追加接種(通算3回目の接種)を受けることができなかったかたは、今回の省令改正では親御さんによる自己負担で接種を受けることになります。接種費用は、およそ7000円前後です。

日本脳炎ワクチンは、接種間隔が何年空いても決まった回数を受けておかないと、40歳以降の中高年になった時期に感染・発病するリスクがありますので、必ず接種を受けるようにしてください。なお、9歳から13歳未満の方を対象にした第2期の接種は、公費ではなく、自己負担になります。

手足口病

西日本を中心に「手足口病」が流行しています。手足口病は、原因ウイルスが複数あり、「エンテロウイルス」と総称されています。今年の原因ウイルスの特徴は、その60%近くが「エンテロウイルス71(EV71)」というウイルスで、他のウイルスの手足口病と異なり、髄膜炎、小脳失調症、脳炎など中枢神経系の合併症を高率に起こしやすいことが知られています。特に、1歳未満の乳児がかかった場合、けいれん発作や麻痺などの後遺症を残すことがあります。手足口病には有効なワクチンや治療法は存在しません。流行地域へは、なるべく乳児を連れて行かないよう夏の旅行や遊びにも配慮してあげてください。

新型インフルエンザ

国立感染症情報センターの発表によると、この5月の連休明けに沖縄の沖永良部島で新型インフルエンザの集団感染がありました。遺伝子検査をうけた10名(うちひとりは56歳の社会人、他の9名は6歳から15歳の子ども)全員からH1N1の新型インフルエンザが検出され、56歳の男性以外9名全員は新型インフルエンザのワクチンを接種していました。ワクチンの有効期間が切れたためか、あるいは新型インフルエンザウイルス自体が変異を起こして、ワクチン効果に関係なく感染したか、今後の調査が注目されます。島の高校生が沖縄本島中部に合宿に行き、帰りの船の中で39℃の発熱が出現していたことから、感染経路は沖縄本島からではないかと推測されています。

夏の家族良好や帰省に際しては、最新の感染症情報を参考にして計画を立てていただいたほうが良いでしょう。

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