305bbcaa.jpg運動会の季節に心配な運動誘発喘息と、乳幼児は重篤な症状になりがちな9月以降に多発する細菌性食中毒について、西鎌倉こどもクリニックの下田先生のお話です。

西鎌倉こどもクリニック 院長 下田 康介
2008年8月29日

みなさん、夏休みはいかがでしたか?手足口病やヘルパンギーナなど「夏かぜ」も、その流行はピークを過ぎたようです。8月下旬の肌寒いくらいの数日間、喘息や鼻炎の子どもたちに症状の悪化がみられ、残暑がぶり返すひとときは再び改善すると思われますが、朝・晩の5℃以上の気温差や複数の低気圧による不安定な天候が9月に入ると珍しくありませんから、予防薬を切らさないよう注意しましょう。運動会の練習が新学期とともに連日続き、「運動誘発喘息」を反復して、ふだんの喘息の調子がだんだん悪くなってくるケースもあります。「運動誘発喘息」自体は20分ぐらいで自然に治ってしまうので、学校からおうちに帰ってお母さんに報告する子どもさんは意外に少なく、お母さんのほうでも実情が把握しにくいんですね。

さて、お盆も診療をしていましたが、目立った患者さんは「食あたり」でした。カンピロバクター菌(生焼けの鶏肉経由)、病原大腸菌(ステーキや焼き肉など経由)、サルモネラ菌(古い卵の生食)、さらにコレラ菌がでた子どもさんもいました。

国立感染症情報センターによると、藤沢市の保健所からの報告で、藤沢市内の某高校の北海道方面への修学旅行で、腸管出血性大腸菌(病原大腸菌のグループのひとつで、重症化して死亡する場合もある菌群です。O157などが有名です。)のO26の集団発生があったそうです。修学旅行に参加した3年生229名のうち76名が腹痛・下痢などの症状がありました。未就学の乳幼児の年齢層では重症化して、「溶血性尿毒症性症候群」という全身の重い合併症を起こすこともあります。実は、この病原大腸菌による「食あたり」が一年でもっとも多発するのが、これからの時期9月から10月なのです。食品衛生の専門の知識や経験のない「不特定多数」の「非正規雇用者」が流通や販売の段階で、食品を衛生的に扱っているとは思えません。ファミレスや冷凍食品、レトルト食品などが日常的に利用され始めた1996年から日本では年間の患者報告数がそれまでの100件以下から600ないし1300件以上に激増しています。

「食の安全」とか「食育」などの問題以前に、「誰が触ってどこに保管していたか」保護者が確認できない食べ物を幼い子どもの口の中へ入れる危険なことはやめましょう。このご時世に子育ては大変ですが、よく火を通すか、あるいは75℃以下の加熱不十分な食品は面倒でもお母さん自身が作ってあげましょう。お医者さんのほうにも問題があります。「カゼの下痢でしょう」とあっさりすませて、「便培養」という検査をきちんと実施していない先生が大部分です。特に、「ホスミシン」という抗生物質の処方を受けたら、医師は細菌性腸炎もあり得るかな?と考えているわけですから、便の検査を受けるようにしましょう。

藤沢の高校生の場合でも、横浜から通学していた生徒が横浜市内の医療機関で便の検査を受けてO26が検出されました。湘南地域の医療レベルの低さを痛感させられる、お恥ずかしい実情です。

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