305bbcaa.jpg予防接種よりも罹患したほうが安上がりという考えは大きな間違い。水痘(みずぼうそう)について、西鎌倉こどもクリニックの下田先生にお伺いしました。

西鎌倉こどもクリニック 院長 下田 康介
2008年5月30日

みなさん、お久しぶりです。水痘(みずぼうそう)が流行ってきましたね。ワクチンは自己負担で8,000円以上することから、接種を受けずにかかった方が「安上がりで得よ。」なんて乱暴なことを言うお母さんたちが多いのですが、とんでもありません。先進国では公費負担で接種が進み、アメリカなどでは小学校入学前の接種率が70%近くになっています。重い病気ではありませんが、小脳炎、肺炎あるいは血小板減少症など重大な合併症を起こすこともあり、何よりもこの初夏の時期の流行では、みずぼうそうの皮疹に黄色ブドウ球菌や溶連菌が感染して、いわゆる「とびひ」や蜂窩織炎を起こすことが珍しくありません。年齢層では1歳から5歳のこどもたちが多いのですが、患児のおよそ10%は1歳未満の乳児です。乳児期に水痘にかかった方は、成人になって帯状疱疹を発症しやすいこともわかっています。赤ちゃんたちに移さないためにも、ワクチンの接種を受けましょう。

水痘ワクチンは世界に先駆けて日本で開発され、1987年に市販されました。高度に弱毒化された生ワクチンで、副反応はなく、抗体陽転率も約90%と優秀です。ワクチンに使用されたウィルスで将来帯状疱疹が発生することもほとんどありません。また、水痘の患児と接触した後でも、72時間以内に緊急接種を受けると、発症を免れるか、軽症に経過するメリットがあります。

なお、水痘は水ぶくれに接触して感染するより、大部分はインフルエンザなどと同じように飛沫感染によって移ります。皮疹が出現する2日前から他の人に感染させる可能性があります。保育園や幼稚園でも適応されている学校保健法では、皮疹が出現してから出席停止期間としていますから、いったん流行が始まれば、この方法で患児を隔離しても役に立たないわけです。通常の罹患年齢の上限5歳を超えて発症すると年齢が進むほど重症化しやすいので、「年長さん」になってもまだ水痘にかかっていない方は、是非ワクチンの接種を検討してください。

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