305bbcaa.jpg妊婦は? 授乳中は? インフルエンザワクチンの接種について、いくた小児クリニックの生田先生にお伺いしました。

いくた小児クリニック 院長 生田 孝一郎
2007年10月01日

1.インフルエンザワクチン接種時期はいつごろがいいか?

インフルエンザに対するワクチンは、その効果が現れるまでに通常約2週間程度かかり、約5ヶ月間その効果が持続するとされています。日本でのインフルエンザの流行は12月下旬から3月上旬が中心になりますので、12月上旬までには接種をすまされることをお勧めします。2回接種の場合は、2回目は1回目から1〜4週間あけて接種しますので、1回目をさらに早めに接種しましょう。最も免疫を獲得する効果が高いのは、1回目の接種と2回目の接種間隔がおよそ4週間の場合とされていますが、体調不良などで1回目と2回目の期間が4週間以上あいたとしても、ワクチン接種の効果はありますので1回目からやり直す必要はありません。2回接種が必要な方は接種が可能になった時点で2回目の接種を受けておきましょう。また、逆に流行が始まっていて、2回接種を急いで行う必要がある場合には、不活化ワクチンですので、1週間以上あいていれば2回目の接種が可能です。

2.妊婦はインフルエンザワクチンの接種は可能か?

インフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンで、 胎児に影響を与えるとは考えられていません。また、妊婦は接種不適当者には含まれません。しかし、国内での調査成績はまだ十分に集積されていないためワクチンを接種した場合の利点と危険性を考え合わせて、医師と十分相談して判断する必要があるでしょう。(参考)米国の報告では、妊婦がインフルエンザを発症すると重症化し易いので、もし接種するなら、妊娠のごく初期(妊娠13週前後まで)を除いた時期に行うのが望ましいとされています。今のところ妊婦に接種した場合に生ずる特別な副反応の報告はありません。

3.授乳中のインフルエンザワクチンの接種は可能か?

インフルエンザワクチンは病原性をなくしたウイルスの成分を用いた不活化ワクチンなので、母乳を介してお子さんに影響することはありません。また、母親がワクチン接種を受けることで、乳児にインフルエンザ感染の予防効果はありません。

4.インフルエンザワクチンの副反応は?

一般的に副反応は軽微です。主な副反応は接種局所の反応で、発赤、腫脹、疼痛をきたすことがありますが2〜3日で消失します。その他に、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などもまれに起こります。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので、ウイルス自体は化学的に処理され病原性はありませんから、その接種によってインフルエンザになることはありません。ワクチンの接種後に発熱した場合も、インフルエンザ以外の冬季に見られる呼吸器疾患にかかった可能性もあり、必ずしもワクチンの副作用とは限りません。

5.タマゴアレルギーがある場合インフルエンザワクチンの接種は可能か?

タマゴアレルギーの程度にもよりますが大部分の場合接種できます。インフルエンザワクチンはその製造過程に発育鶏卵を使うために、ごくわずかながら鶏卵由来成分がワクチンの中に残って、それによるアレルギー症状がまれに起こることもありえます。しかし、近年は高度に精製されてワクチンには鶏卵由来成分はほとんど残っていませんので、軽いタマゴアレルギーはほとんど問題にはなりません。しかしながら、重篤なタマゴアレルギーのある方、例えば鶏卵を食べてひどい蕁麻疹(じんましん)や発疹(ほっしん)を生じたり、口の中がしびれたりする方や、タマゴ成分でアナフィラキシーショックを起こしたことがある方は、ワクチン接種を避けるか、インフルエンザにかかるリスクとワクチン接種に伴う副反応のリスクとを考慮して、接種前にかかりつけの医師とよく相談のうえ、十分に注意して接種を受けることを勧めます。

(参考文献:国立感染症研究所ホームページ)

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2007年10月01日 │ コラム │ コメント(0)

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